分からないまま、AIに引っ越しを任せた

分からないまま、AIにブログの引っ越しを任せた記録

Xで見かけたEmDashというCMSが気になって、試しにWordPressから引っ越してみた。作業はほぼ全部AIにやってもらった。技術の話は理解していない。それでも怖かったこと、自分で決めなければならなかったこと、そして「決められなかったのは決断力ではなく材料の問題だった」と気づいた話。

このブログを、WordPressからEmDashという新しいCMSに移した。作業はほぼ全部AIにやってもらった。

私は途中の技術的な話をほとんど理解していない。それでもサイトは動いている。

分からないまま任せることに、抵抗はない。これまでも何度もアプリやツールを作ってもらってきて、実際に使えているからだ。

ただ、今回はひとつだけ怖かったことがある。

なぜ試したのか

きっかけはXで見かけた紹介だった。EmDashというCMSがあると知って、興味を持った。

もうひとつ理由がある。Cloudflareを、トンネルを通すだけのものだと思っていた。

クリニックの順番受付システムを自作したとき、院内のパソコンで動いているものを外から見られるようにするために使った。それが私のCloudflare体験のすべてだった。

それ以外にもいろいろできると知って、試してみたくなった。データベースも、画像の置き場も、サイトそのものも動かせるらしい。

使ってみないと「使える」とも「使えない」とも言えない。 触らずに評価するのは違うと思っている。

だから、これは実験だった。

課金が増えるんじゃないか

ところが、実験だからこそ怖いことがあった。

ここ最近、使っていないサービスを解約したり、契約を見直したりしている。古いサーバーを整理し、有料プランを見直し、少しずつ固定費を下げてきた。これもAIに手伝ってもらって、やっと手をつけられたことだ。

そこへ、新しいCMSを試すという話である。しかも移すのは、記事69本と画像400枚以上。試すだけのつもりが、固定費として残ってしまうかもしれない。

削ってきたのに、また増やすのではないか。

作業の途中、何度もそれが引っかかっていた。「画像を減らしましょうか」「記事を消してもいいですよ」と何度も言った。技術的なことは分からなくても、増える/減るは分かるからだ。

結果はこうだった。

| 項目 | 実際 | 無料枠 | 使用率 |

|---|---|---|---|

| 画像(407枚) | 36.6 MB | 10 GB | 0.4% |

| 記事データ | 3.7 MB | 5 GB | 0.07% |

バックアップファイルが226MBあったので、画像もそれくらいあると思い込んでいた。実際にはデータベースやテーマを全部含んだ数字で、画像だけなら36.6MBだった。

画像を減らす必要も、記事を削る必要もなかった。

この数字が出るまで、不安は消えなかった。逆に言えば、測れば消える不安だった。「たぶん大丈夫です」では消えなかったと思う。

もうひとつ、ずっと引っかかっていたこと

お金とは別に、気になっていたことがあった。

古くなった記事が積み重なっていた。

5年前、Web制作を独学していたころに書いたものが大半だ。書いた当時は正しかった。でも今も正しいとは限らない。読み返すたびに「これ、まずいかもしれない」と思いながら、そのままにしていた。

消せなかったのは、判断できなかったからだ。

どれが古くなっていて、どれがまだ通用するのか。自分では分からない。全部消すのは惜しいし、全部残すのは無責任な気がする。決められないまま、何年も置いてあった。

今回、そこを見てもらった。

  • Parityのインストール手順 — このソフトは開発が終了していた。記事に書いてあるコマンドは、もう存在しないものを指していた
  • Bootstrap 4の入門記事 — 今はv5。書き方が違うので、真似すると動かない
  • Sublime Textの日本語化 — 今からこのエディタを選ぶ人はほぼいない

「もう使われていないものだから消していい」と、はっきり言ってもらえた。

すっきりした。

考えてみれば、私が判断できなかったのは、判断力がなかったからではない。事実を知らなかったからだ。Parityが開発を終えていることも、Bootstrapのバージョンが上がったことも、知らなければどれだけ考えても決めようがない。

事実さえ出てくれば、決めるのは難しくなかった。「人が真似して困るなら消す」。基準は最初から自分の中にあった。

19本あった学習記録は、消さずに1本にまとめ直してもらった。当時どういう順序で何を学んだかは残しておきたかったし、それは技術が古くなっても意味を失わない。

公開している記事は69本から43本になった。減ったというより、やっと整理がついたという感じがする。

月5ドルを払わないと決めた

もうひとつ、お金の話があった。

EmDashのテンプレートは、初期状態だと月5ドルの有料プランが必要になっている。使っていない機能のためだった。

「無料プランで試して、ダメなら払えばいい」——そう決めた。先に払う理由がないからだ。

結果として無料のまま動いている。ただしこの判断のせいで、あとで一度詰まった。外した機能が、思わぬところで別の機能を支えていたのだ(管理画面に入れなくなった。詳しくは技術編に書いた)。

それでも、この判断は正しかったと思っている。詰まったところは回り道で解決できた。先に払っていたら、払う必要があったかどうかも分からないままだった。

私が決めたこと

作業のほとんどはAIがやった。では私は何をしていたのか。あとから振り返ると、決めたことはこれくらいだった。

古いサーバーのPHPを更新しない

警告が出ていたが、更新するとサイトが真っ白になる可能性があると言われた。そうなると記事の吸い出しすらできなくなる。先にデータを取り出すことにした。

無料プランで運用する

上に書いたとおり。

古い記事27本を非公開にする

上に書いたとおり。基準は「人が真似して困るかどうか」にした。

下書きは全部は消さない

「消したい」と言ったら、書きかけで終わった原稿の中に1万字を超えるものが4本あると教えられた。空同然のものだけ消した。

Cloudflareのアカウントを分ける

これは私から言った。クリニックの受付システムを同じ会社のサービスで動かしている。あれは止まると診療が止まる。 そこに個人の実験を混ぜたくなかった。

AIはこの事情を知らなかった。過去の記録を掘って、初めて気づいたようだった。

予約投稿の機能は残す

作業の都合で一時的に切ってあったものを、戻してもらった。使うかどうか分からないが、あとで欲しくなったときに困る。

サイト名を決める

4案出してもらって、旧サイトと同じ「リリイログ」を選んだ。前からのブックマークで来る人が迷わないように。

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こうして並べると、技術的な判断はひとつもない。全部、お金か、業務か、読む人のことだ。

AIも間違える

作業中、AIがカテゴリをひとつ誤って削除した。残すべきものを消してしまったのだ。

そのあと、原因(削除の仕組みが言語を区別しない作りだった)を調べて、元に戻していた。データは失われなかった。

間違えたこと自体より、間違えたと報告してきたことの方が大事だと思った。 黙っていれば分からなかった。

任せられること、任せられないこと

今回はっきりしたことがある。

任せられるのは、事実を集めること。 どのファイルを読むか、どのコマンドを打つか、どこが壊れているか、そのソフトはまだ生きているか。これは私が何年やっても追いつけない。

任せられないのは、その事実をどう扱うかを決めること。 いくらまで払えるか。どのアカウントに置くか。どの記事を人に見せたいか。これは私しか知らない。

今回つまずいていた2つは、どちらもこの2つが混ざっていた。

「課金が増えるのでは」——実際にいくら使うかは測れば分かる。いくらまでなら許せるかは私が決める。測ってもらって0.4%だと分かり、それで決められた。

「古い記事をどうするか」——何が古いかは調べれば分かる。人に見せて困るかどうかは私が決める。調べてもらって、それで決められた。

決められなかったのは、決断力の問題ではなく、材料が足りなかっただけだった。

これに気づいてから、任せることへの迷いがなくなった。私は判断を明け渡しているのではない。判断に必要なものを持ってきてもらっている。

使えるのか、使えないのか

実験として始めたので、最後に結論を書いておく。

今のところ、使える。 記事43本と画像407枚が無料枠の0.4%で動いていて、表示も問題ない。管理画面も使いやすい。

ただし素直ではない。無料プランでは、標準のWordPress取り込み機能が最後まで動かなかった。管理画面から締め出されもした。どちらも回り道で解決したが、AIに任せていなければ、私はここで止まっていたと思う。

「誰にでも勧められるか」と聞かれたら、今は違うと答える。「触ってみる価値はあるか」なら、ある。

まだ独自ドメインには切り替えていない。仮のURLで動いている状態だ。切り替えるときは、また分からないまま任せることになると思う。

それでいいと思っている。分からないことと、決められないことは、別だから。